【親子で挑戦】歯並びを良くする「あいうべ体操」のすすめ

こんにちは!流山市平和台にある小川歯科医院院長の小川です!

今日は、お子さんの歯並びと深く関わる「あいうべ体操」についてお話しします。

テレビや雑誌で名前を聞いたことがある方も多いかもしれませんね。

道具もお金もいらず、親子で1日数分あれば取り組める、とても手軽なお口の体操です。

「うちの子、いつも口がポカンと開いている」「歯並びが心配だけど、今できることはないかな」——そんなふうに感じている保護者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

「あいうべ体操」ってどんな体操?

まずは、あいうべ体操がどんなものなのかを知っておきましょう。

名前のとおり、とてもシンプルな動作の組み合わせです。

名前のとおり「あ・い・う・べ」と動かすだけ

あいうべ体操は、福岡のみらいクリニック・今井一彰先生が考案された、口呼吸を鼻呼吸に改善するための体操です。

やり方は次の4つの動作を順番にくり返すだけ。

1.「あー」と口を大きく開く
2.「いー」と口を大きく横に広げる
3.「うー」と口を強く前に突き出す
4.「べー」と舌を突き出して下に伸ばす


ポイントは、声を出すことよりも「口の形を思いきり大きく動かすこと」です。

声を出しにくい場所では、口の形だけでも十分に効果があります(参考:みらいクリニック「あいうべ体操」)。

1日30セットが目安。分けて行ってもOK

考案元では、1〜4を1セットとして1日30セットを目安に毎日続けることがすすめられています。

「30回も!」と驚かれるかもしれませんが、真剣にやるとかなり疲れる体操なので、朝・昼・晩の食後に10回ずつ、というように分けて行うほうが続けやすいとされています。

あごの関節に痛みがある方は、回数を減らすか「いー」「うー」だけをくり返すなど、無理のない範囲で行ってくださいね。

なぜ「あいうべ体操」が歯並びに良いの?

「お口の体操と歯並びに、どんな関係があるの?」と思われた方も多いはずです。

ここが今日いちばんお伝えしたいところです。

「お口ぽかん」と口呼吸が歯並びを乱してしまう

歯並びは、実は「外側からの唇や頬の力」と「内側からの舌の力」がつり合ったところに落ち着きます。

ところが口がいつも開いている「お口ぽかん(口唇閉鎖不全)」の状態が続くと、この力のバランスが崩れてしまいます。

唇が歯を押さえる力が弱くなり、前歯が前に出やすくなったり、歯が並ぶスペースが足りなくなったりすることがあるのです。

さらに、口で呼吸する「口呼吸」が習慣になると、鼻というフィルターを通さずに空気がのどへ届くため、風邪をひきやすくなったり、お口の中が乾いてむし歯や歯ぐきのトラブルが増えたりしやすくなります。

お子さんのお口、テレビを見ているときにポカンと開いていませんか?

ぜひ一度、そっと観察してみてください。

舌が上あごに届くと、あごが育つ

もうひとつの鍵が「舌の位置」です。舌の正しい位置は、上あごにぴたっとくっついている状態。

この位置に舌があることで、上あごが内側からやさしく押し広げられ、歯が並ぶスペースが育っていきます。

反対に舌が下がった「低位舌(ていいぜつ)」の状態が続くと、上あごが広がりにくくなってしまいます。

あいうべ体操の「べー」は、この舌の力を鍛えるための動作です。

唇・頬・舌をまとめて動かすことで、歯並びの土台となるお口の環境を整えていく——これがあいうべ体操が歯並びに良いとされる理由なのです。

効果は研究でも確かめられています

「本当に効果があるの?」という疑問は当然だと思います。

実は、日本の大学による研究でその効果が報告されています。

幼稚園児123人を1年間追いかけた研究

鹿児島大学の研究グループは、鹿児島県内の幼稚園に通う3〜4歳の子ども123名に毎朝36セットのあいうべ体操を1年間続けてもらい、体操を行わない123名と比較しました。

その結果、体操を行ったグループでは唇を閉じる力(口唇閉鎖力)がより大きく増加しました。

とくにもともと口唇閉鎖力が弱かったお子さんで、その差ははっきりと表れています。

さらに横顔の形を比べると、体操グループは上下の唇が引き締まる傾向を示したのに対し、体操をしなかったグループは唇がより前に出る傾向、つまり「お口ぽかん」が悪化する傾向が見られました(参考:鹿児島大学「子どもの"お口ぽかん"に対するお口の体操の効果を明らかに」)。

毎日の小さな積み重ねが、確かな変化につながるのですね。

日本の子どもの約3割が「お口ぽかん」

新潟大学などが行った全国規模の疫学調査では、日本の子どもたちの30.7%が日常的に「お口ぽかん」の状態を示していたことが報告されています。

しかも、この状態は自然に良くなることが期待しにくい可能性があるとも指摘されています(参考:新潟大学 研究成果「子どもの"お口ぽかん"の有病率を明らかに」)。

3人に1人となると、決して他人事ではありませんよね。だからこそ、気づいた今から始めることに意味があるのです。

親子で楽しく続けるコツ

どんなに良い体操も、続かなければ効果は表れません。

ここでは長続きさせるための工夫をご紹介します。

「毎日の習慣」とセットにする

いちばんのコツは、すでにある習慣にくっつけてしまうことです。

「朝の歯みがきのあと10回」「お風呂で湯ぶねに入りながら10回」「寝る前に10回」というように、時間を決めてしまえば忘れにくくなります。

そして何より効果的なのが、お家の方も一緒にやることです。

大人が変な顔をしてみせると、お子さんは大喜びで真似してくれます。

「どっちが大きく口を開けられるかな?」と競争にしたり、カレンダーにシールを貼って達成感を味わえるようにしたりするのもおすすめです。

親子のスキンシップの時間にもなりますよ。

効果を焦らないでください

口のまわりの筋肉は、一朝一夕には変わりません。

先ほどの研究も1年という期間をかけています。

数日で結果が出なくても「効かない」と思わずに、まずは3か月続けてみてください。

気づいたときには、お子さんの口元が変わってきているはずです。

大切なお願い:体操だけで歯並びが「治る」わけではありません

最後に、歯科医師としてどうしてもお伝えしておきたいことがあります。

お口の機能を育てることと、矯正治療は別のもの

あいうべ体操をはじめとするお口のトレーニングは、食べる・話す・呼吸するといったお口の働きを育てるためのものです。

日本歯科医学会も、こうした状態を「口腔機能発達不全症(こうくうきのうはったつふぜんしょう)」として位置づけ、機能を育てる大切さを示しています(参考:日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」)。

一方で日本小児歯科学会は、口腔機能を育てる治療と矯正治療は目的が異なるものであり、混同しないよう注意を呼びかけています(参考:日本小児歯科学会「口腔機能発達不全の治療に関する重要なお知らせ」)。

つまり、あいうべ体操は「歯並びが乱れにくい土台をつくる」ためのものであって、すでにあるガタガタを直接並べ直すものではない、ということです。

お子さんの歯並びやお口ぽかんが気になったら、まずは今のお口の状態を知ることから始めてみませんか?

お子さん一人ひとりで、必要なアプローチは変わってきます。

小川歯科医院では、成長段階に合わせてご家庭でできる取り組みを一緒に考え、必要な場合は適切な時期の治療をご提案しています。

流山市平和台・鰭ヶ崎エリアで小児歯科や子どもの歯並びについてお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

スタッフ一同、心よりお待ちしております!