食事中の「足の裏」、床についていますか?噛む力を育てる正しい座り方

こんにちは!流山市平和台にある小川歯科医院院長の小川です!

突然ですが、患者さんに質問です。今日の朝ごはん、足の裏はしっかり床についていましたか?「え、そんなところ気にしたことない…」という方がほとんどではないでしょうか。実は、食事中の足の裏の位置が、噛む力(咀嚼力)に大きく影響していることをご存じですか?お子さまの顎の発達から、ご高齢の方の誤嚥予防まで、すべての世代に共通する大切なポイントなのです。今回は、見落とされがちな「食事姿勢」と「噛む力」の深い関係について、流山市の小川歯科医院院長がわかりやすく解説します。


なぜ「足の裏」が噛む力に関係するの?

「足の裏」と「噛む力」、一見まったく関係なさそうに感じますよね。しかし、人間の体は全身がつながっており、しっかり噛むためには足元の安定が欠かせないのです。


噛む時、私たちは全身で踏ん張っている

ものを噛むという動作は、顎の筋肉だけで行っているように思われがちですが、実は全身を使った運動です。椅子に座って食事をする際、両足をしっかり床につけることで、上半身にしっかり力が入ると言われています。

固いお肉や、シャキシャキしたお野菜を噛むとき、無意識のうちに足で床を踏みしめていることに気づいたことはありませんか?これは、噛む力を生み出すために、体が自然と「踏ん張る場所」を探しているからなんです。足が宙ぶらりんの状態では、この踏ん張りが効かず、本来の噛む力を発揮できなくなってしまいます。


足が浮くと姿勢が崩れ、消化にも悪影響

足が床につかないと、体のバランスが崩れ、姿勢が悪くなりがちです。特にお子さまの場合、椅子の高さを調整するか、足置きを使用して、足がしっかり床につくようにしましょう。

姿勢が悪くなると、噛む力が落ちるだけではありません。姿勢が悪いと、食べ物をしっかりと噛むことができず、消化不良を起こしやすくなり、胃腸に負担をかけてしまいます。お口の健康と全身の健康はつながっているのです。


正しい食事姿勢の3つのポイント

それでは、噛む力をしっかり発揮できる「正しい食事姿勢」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?歯科医師が推奨する、わかりやすい3つのポイントをご紹介します。


ポイント1:椅子に深く腰をかけて、背筋を伸ばす

椅子に深く腰をかけ、首と背筋をまっすぐにして座りましょう。背もたれに寄りかからず、胸を張ることが大切です。前傾姿勢ではお口まわりの筋肉が動かしにくく、背筋が伸びたよい姿勢だと、体幹が安定するので、お口まわりの筋肉やあごをリズミカルに動かしやすくなり、よく噛めるようになります。

これは、噛むときに使用される顔周りの筋肉や舌が、肩甲骨や胸骨につながっているからなのです。猫背になると、これらの筋肉がうまく働かなくなってしまうんですね。


ポイント2:テーブルの高さは「胸とおへその間」

テーブルは胸とおへその間くらいの高さ、テーブルとの間はにぎりこぶし1つ分あけるのが理想です。テーブルが高すぎたり低すぎたりすると、自然と姿勢が崩れてしまいます。

特にお子さまの場合、大人用のテーブルでは高さが合わないことが多いです。両腕をだらんと垂らして肘を上げたときに、自然と両肘がテーブルの上に乗る高さを目安に調整しましょう。


ポイント3:足の裏全体を床にしっかりつける

そして最も大切なのが、今回のテーマである「足の裏」です。足の裏全体を床につけましょう。足が宙ぶらりの状態では体が安定しづらいため、安定するようにうつむきがちな姿勢をとるようになってしまいます。

膝の角度も重要で、椅子の高さは、深く腰掛けた状態で足が床にしっかりとついて、かつ膝が90度に曲がるくらいの位置がベストとされています。


お子さま・ご高齢の方は特に要注意!

正しい食事姿勢は全世代に大切ですが、特に「お子さま」と「ご高齢の方」では、より一層意識していただきたいポイントがあります。


お子さまの「あごの発達」と「歯並び」に直結

成長期のお子さまにとって、食事姿勢は単なるマナーの問題ではありません。あごの発達や歯並びにも大きく関わってきます。

食事をする際の正しい姿勢は、よく噛めて安全に飲み込める姿勢のことです。お口の筋肉を動かしやすい姿勢なので、お子さんの食べる機能の成長がおのずと促されるだけでなく、あごの成長発達にもつながります。

ダイニングチェアでお子さまの足が床に届かない場合は、ぜひ足置き台を用意してあげてください!牛乳パックを束ねて作る簡易な足置きでも十分効果があります。お子さまの将来の歯並びのために、今日から試してみてはいかがでしょうか?


ご高齢の方は「誤嚥」のリスクが高まります

ご高齢になると、飲み込む力(嚥下機能)が低下しやすくなります。そんなとき、姿勢が悪いと食べ物が気管に入りやすくなり、誤嚥(ごえん)のリスクが高まります。

誤嚥は食べ物や飲み物が気道に入ってしまうことで、これと一緒にお口の中の細菌が体内に入ることで、誤嚥性肺炎を引き起こす原因となり、特に高齢者において重大な健康問題につながることがあります。

車椅子をご利用の方の場合は特に注意が必要で、フットレスト(足置き)から足をおろし、床に足の裏がつくようにしましょう。足が床から浮いていると、食事の姿勢が崩れやすく、食べられる量も減ってしまいます。ご家族の介助をされている方も、ぜひ覚えておいてくださいね。


正しい姿勢で噛むことが、お口と全身の健康を守る

「たかが姿勢、されど姿勢」。正しい食事姿勢を意識するだけで、こんなにも嬉しい効果が期待できます。


むし歯予防・口臭予防にもつながる

しっかり噛むことで、唾液の分泌が促されます。正しい姿勢で食事をとることは、唾液の分泌を促すことにつながり、唾液をたくさん出すことで、むし歯予防や口臭予防にもつながります。

唾液には、お口の中を洗い流す自浄作用や、歯の再石灰化を促す働きがあります。「最近、口臭が気になる…」「むし歯になりやすい気がする…」とお悩みの方は、まずは食事姿勢から見直してみるのも一つの方法ですよ。


健康寿命を延ばすカギは「噛む力」

噛む力の低下は、お口だけの問題にとどまりません。うまく噛めなくなると肉類を食べる機会が少なくなり、「タンパク質低栄養」という状態におちいることも懸念されます。これにより、姿勢を維持したり身体を動かしたりする筋肉の減少(骨格筋減少症:サルコペニア)を招き、ご高齢の方が転倒して骨折し、寝たきりになることにもつながると報告されています。

つまり、毎日の食事姿勢を整えて「噛む力」をしっかり育てておくことが、将来の健康寿命を延ばすことにもつながるのです。


まとめ:今日の夕食から、足の裏を意識してみませんか?

今回は、食事中の「足の裏」と「噛む力」の意外な関係についてお話しさせていただきました。ポイントをおさらいすると…

  • 噛む動作は全身運動。足の裏が床についていないと踏ん張れない
  • 正しい姿勢は「背筋を伸ばす・テーブルの高さを合わせる・足の裏を床につける」
  • お子さまの顎の発達、ご高齢の方の誤嚥予防にも欠かせない
  • 噛む力を育てることが、お口と全身の健康を守る

今日の夕食から、ぜひご家族みんなで「足の裏チェック」をしてみてくださいね!特にお子さまの椅子は、足が床に届いているかぜひ確認してあげてください。


流山市平和台にある小川歯科医院では、お子さまの噛む機能の発達相談や、ご高齢の方の口腔機能低下症のチェックも行っております。「最近、硬いものが食べにくい」「子どもの食事姿勢が気になる」など、噛むことに関するお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください!皆さまのご来院を、スタッフ一同心よりお待ちしております。